【島人の目】財政危機さなかの欧州選手権


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 ヨーロッパは4年に1度のサッカーの祭典、欧州選手権で盛り上がっている。今回の大会は6月8日に始まり、決勝戦は7月1日に行われる。ギリシャに端を発した欧州の財政危機は、依然として厳しい状況が続いていて、人々の不安といら立ちは募る一方である。

そうした中、サッカーの一大イベントが、欧州各国民にしばしの気晴らしと歓喜をもたらしている。さしずめ忙中の閑、暗中の明とでもいうところ。
 欧州危機招来の張本人と見なされているギリシャも、1次リーグを突破して準々決勝に進んだ。ギリシャはサッカー強国ではないから、ドイツやイタリア、スペインなどのサッカー大国と肩を並べる快挙に国中が沸き立った。
 サッカーが好きな僕は連日、試合のテレビ観戦を楽しみながら日本の動向に気を配ってきた。それで気付いたのだが、ワールドカップにはあれほど騒ぐ日本のメディアが、欧州選手権に対してはほとんど無関心である。間もなく始まるロンドン五輪への期待で気もそぞろ、ということだろうが、少々驚いた。
 欧州選手権はワールドカップ同様に4年ごとに開かれ、しかもW杯にも匹敵する超ド級で面白い試合が連日見られる。それが日本で注目されないのは惜しい。僕は欧州サッカーの集大成である選手権のハイレベルな競技をぜひ日本の若者たちに見てもらい、わが国のサッカーのレベル向上に役立ててほしいと心から願っているから。
(仲宗根雅則、TVディレクター)