【ブラジル】占領下の故郷思う 初の復帰イベント


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本土復帰40年を機に、米軍占領時の沖縄県に関する理解を深めようと、県系1世らを迎えて開かれた討論会=6月24日、ブラジル・サンパウロ州のブラジル沖縄文化センター

 沖縄の本土復帰40年を機に、米占領時の沖縄県に関する理解を深めようと、県系1世らを迎えた討論会が6月24日、ブラジル・サンパウロ州のブラジル沖縄文化センターで開かれた。

ブラジル沖縄県人会によると、復帰40年を記念したイベントが同国で開催されるのは初めて。
 主催者の県系3世の学生サトミ・マツモトさん(23)は4年前に初めて沖縄を訪問した際、米軍基地問題の深刻さを知り、驚いたと説明。ブラジルにおける県のイメージは海や豊かな文化が中心とした上で「日系社会の若い世代は占領時代と基地問題のことをほとんど知らない。議論をスタートさせるきっかけをつくりたかった」と話した。
 討論会には戦後、ブラジルに渡った1世の男女計5人が、子どものころに見た、占領下の県の様子について説明。10歳で終戦を迎えたというアリス・タラマさん(77)は、生き抜くために米兵から食べ物をもらっていた経験などを語り、「若い世代に、沖縄のこうした歴史と戦争の悲惨さをしっかり理解してほしい」と話した。
 討論会のほか、復帰前の県の様子を伝える写真展なども開かれ、約50人が来場。参加した県系3世の学生ケイコ・ナカマツさん(21)は「基地問題のことは少し知っていたが、これからはきちんと勉強していきたい」と話した。
(安原亜紀子通信員)

英文へ→Discussion about Okinawa under U.S. military occupation held at Brazil