7市町村で異臭 平安座・原油流出


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ふたが破損し原油が流出、内部に残った原油から異臭の原因となるガスが発生しているタンク=8日、うるま市与那城平安座の石油備蓄基地沖縄ターミナル

 【うるま】うるま市与那城平安座の石油備蓄基地沖縄ターミナルで7日に発生した原油タンクのふたが破損し原油4500リットルが流出した事故の影響で、タンク内に残る原油からガスが発生し、7日から9日にかけてうるま市や沖縄市など中部を中心に異臭が発生した。

各消防本部には9日までに異臭に関する通報が約200件あった。同社によると、タンク内の原油液面を二酸化炭素で覆うことで臭いは緩和されるというが、県外から機材を搬入するため、作業開始は早くても12日以降になる見込みだ。
 本紙の調べによると異臭が確認されたのは少なくとも、うるまと沖縄の両市と金武町、嘉手納町、読谷村、北谷町、北中城村の7市町村。同事故を受けた9日午後4時現在の通報件数は、沖縄市消防本部112件、うるま市消防本部81件をはじめ、県内で計202件に上った。
 7日の事故以降、同石油基地がある平安座区内には強い異臭が漂った。8日、区内にある彩橋小中学校(全児童生徒181人)では異臭のため20人が体調不良を訴えたため、同校は全児童生徒にマスクを配布した。9日は同区内で異臭がひどくなかったため、体調を崩す子どもはいなかったという。また同校は、8、9日には火災発生に備え、避難用に4台のスクールバスを待機させた。
 平安座自治会は9日夜、臨時審議委員会を開き、火災発生時の危機管理態勢について協議した。同社は10日午後以降、タンク内の原油移し替え作業を始める。安全のため昼間のみ作業し、移し替えは最短で16日間をめどとしている。事故現場ではガスが引火して火災が発生する恐れがあるため、同社など3社でつくる平安座地区石油コンビナート等特別防災区域協議会とうるま消防による24時間態勢の警戒が続いている。
 異臭の人体への影響を確認するため同社は、9日から平安座区内で環境測定を開始。10日から、うるま市役所具志川、石川、勝連、与勝4庁舎と沖縄市役所でも行う。12日の作業開始まで、周辺では異臭が発生する可能性がある。
 同社は「住民の皆さんにご迷惑をかけ大変申し訳ない。早急に対応しているので理解していただきたい」と述べた。