下地幹郎郵政・防災担当相が13日の衆院予算委員会で、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備と普天間飛行場の名護市辺野古移設の政府方針に関し、入閣前と異なり、「認める」との見解を国会答弁で初めて示した。国会内では、オスプレイの沖縄配備や辺野古移設に反対する意向を主張してきた下地氏と政府方針が異なることから、この日は自民2人、公明1人、社民1人が下地氏の姿勢を追及した。
下地氏は7月3日、国民新党幹事長会見で、政府がオスプレイの正式通告を受けたことに関し、「防衛相に対する沖縄の信頼感はなくなった」など森本氏を名指しで強く批判。沖縄配備には一貫して厳しい文言で政府方針を糾弾した。普天間飛行場の辺野古移設にも「辺野古断念が負担軽減の一番の近道だ」など反対する考えを繰り返してきた。
しかし10月1日、野田佳彦首相の第3次改造内閣に入閣。以降の会見では徐々に閣僚として政府方針を認めざるを得ないという見解を示しながら、一方で県民の怒りや反対の声を直接、首相や閣僚に訴える、との主張に変遷してきた。13日の予算委でも入閣前、森本氏を痛烈に批判した発言に対する質問で、下地氏は「その時、そういう考えだったのは間違いない」とした上で、「どうしたらオスプレイが安全に飛行できるかを模索するのが、今の立場だ」と釈明した。
さらに普天間移設に関し、自民党県連なども県外・国外移設を主張していることに触れ、「沖縄の保守は本土と違い、日米同盟を大事にしながらも政府と全体で一致するのは難しい」と説明。「確実に政府方針は(方針通りに)やっていくが、地元の声を伝える役割を果たすのは何も矛盾していない」と主張した。
下地氏が方針を変えたのは見解だけではない。県選出・出身国会議員に求めているコメントに対して、これまでは文書回答を含めほかの国会議員と同様、応じていた。だが、入閣後は「文書での個別の回答はできない」とし、週2回の定例大臣会見で質問すれば答えるという方針に転じた。ほかの閣僚も、地元紙も含め、自身の見解を示す場を会見や懇談に限っており、横並びしたものとみられる。
(宮城久緒)