普天間の米兵脱走 通知大幅遅れ

米軍 住民不安に無頓着
 米兵事件が相次ぎ、再発防止策の効果が見えない中、米軍普天間飛行場から米兵1人が脱走していたことが明らかになった。米軍は今月9日に脱走認定をしたが、外務省に通知したのはそれから1週間後。市町村まで情報が届いたのは認定から12日後で情報通知の対応は迅速さに欠ける。相次ぐ米兵事件に県民の不安が高まっていることに対し無頓着といえ、通知体制の問題点を指摘する声が強まりそうだ。

 2008年3月に神奈川県横須賀市で米海軍横須賀基地所属の脱走兵がタクシー運転手を刺殺する事件が発生。兵士の基地脱走について日本側に連絡はなかった。この問題が発端となり、日米両政府は同年4月、脱走が判明した場合、米側が直ちに都道府県警に逮捕を要請し、日本政府に情報提供することで合意した。
 今回、在日米軍がいつ県警へ逮捕要請したか不明だが、米軍からのニュースリリースなどはなく、一般住民に情報は行き渡っていなかった。
 一方、全国の米軍基地を抱える都道県で構成する渉外知事会を通じて20日に連絡を受けた県は翌21日、市町村へ情報提供したが、報道機関へは「積極的な公表はしていない」として公表しなかった。22日に取材を受けた後の同日夕に初めて報道発表し、住民への情報周知の在り方について課題を浮き彫りにした。外務省日米地位協定室も1週間後となった米側から同省への通知は特に遅くはないとの認識だ。県基地対策課によると、08年10月以降、把握できているだけで今回を含めずに4件6人の脱走が明らかになっている。うち2人は身柄確保の通知がなく、行方不明とみられる。住民がトラブルに巻き込まれることを避けるためにも、情報周知の強化が求められる。
 10月の米海軍兵による集団女性暴行致傷事件の発生後、在日米軍は再発防止策として日本にいる全ての兵士に対し深夜外出禁止措置を講じているが、禁止令を破る米兵事件が立て続けに発生。今回の脱走は、兵員を統制できていない軍組織の劣化を如実に表したと言える。再発防止策や綱紀粛正の徹底だけでは米兵事件の発生を食い止められないことをあらためて示している。
 米海兵隊の準機関紙「マリン・タイムズ」によると米海兵隊は13年前半から、沖縄への6カ月巡回配備(ローテーション)を再開する。米国防総省は巡回配備再開に伴い、現在の在沖米海兵隊の実数を1万5千人余りから1万9千~2万人まで強化する計画を進めているとされており、県内の民間地域で米兵の居住が増える可能性もあり、再発防止の実効性を高めることはますます困難になる見通しだ。(内間健友)