「県主体で解決を」 尖閣問題、慶田城さん強調


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講演する遺族会会長の慶田城用武さん=5日、那覇市の八汐荘

 「尖閣問題と沖縄」をテーマにした講演会(沖縄人権協会主催)が5日、那覇市の八汐荘で開かれ、尖閣列島戦時遭難者遺族会会長の慶田城用武さんと琉球大名誉教授で日中友好協会県支部長の上里賢一さんが講演し、会場の参加者と共に尖閣諸島をめぐる日中対立の平和的解決策を探った。

慶田城さんは北朝鮮の「ミサイル」発射予告を受けた自衛隊の石垣市への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)配備などに触れ、先島諸島の軍事拠点化の動きに懸念を示した。一方で県が主体となり米国や中国との懸け橋になるよう求めた。
 慶田城さんは、国会議員らの尖閣諸島での洋上慰霊祭などは「政治的アピールだ」と憤りを見せた。一方で「領有権の問題が解決すると、中国の脅威論が見直され、米軍基地の縮小や日米地位協定の改定が図られると感じている。県が主体となって米国や中国との懸け橋になれるよう取り組めば問題は解決すると思う」と強調した。
 ことし4月にPAC3が配備された際、自衛隊が石垣市役所に常駐したことに言及し「石垣市と自衛隊の関係が濃密になる」と、配備によって平和的な行政が脅かされることに危機感を表した。
 上里さんは「日本は尖閣の国有化を取り下げ、沖縄に管理権を移譲してはどうかと思う。そこから中国との話し合いの糸口が見えるのではないか」と主張。「領土問題があると認め、話し合いによって解決することを日中両政府に沖縄側から提案していくべきだ」と訴えた。その上で「尖閣問題は沖縄の問題だ」と沖縄側が先頭に立って声を上げていく必要性を指摘した。

英文へ→Kedashiro suggests that the Senkaku Islands dispute should be resolved with Okinawan involvement