1フィート運動の会 来年3月、活動終了


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 沖縄戦の実相を次世代に残そうと、米国内で所蔵されている沖縄戦記録フィルムを買い取り、公開してきたNPO法人「沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会」(福地曠昭(ひろあき)代表)が来年3月15日で活動を終了することが13日、分かった。

沖縄戦に関する市民団体が育ってきたことや県平和祈念資料館や県公文書館などが整備されたことなどを踏まえ、一定の役割を終えたと判断した。来年は結成30周年を迎える節目の年でもあり、福地代表は「県民一人一人が参加してつくってきた運動。使命を終えたという気持ちはなく、積極的な解散だ。運動の火は消さないし、若い世代にも期待したい」と語った。
 現在、30周年記念誌の編集を進めており、来年3月に発行予定。活動終了については近々記者会見を開いて県民に報告し、感謝を伝えるという。
 「鉄の暴風」により全てが灰燼(かいじん)に帰した沖縄戦の記録映像や写真を、戦争を知らない世代に伝えようと芽吹いた同会の運動。福地代表は「誰がつくったわけでもない、学校の子どもたちの100円カンパで自然発生的に始まった運動だった。県民がつくるという自負から、国の補助を断ったこともあった」と振り返り、30年の歩みに思いをはせた。
 同会は1人100円のカンパで、米国の国立公文書館などに保存されている沖縄戦記録フィルム1フィート分を購入。1983年12月8日の結成以来、約11万フィートのフィルムを買い取った。それを基に「沖縄戦―未来への証言」(89年)などの記録映像作品を次々に制作。学校教育現場を中心に、沖縄戦の克明な実相を伝えてきた。沖縄戦体験者の組織化や講師派遣も進めた。