【アメリカ】池間言語の継承探る UCLAでワークショップ


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最後に「クイチャー」を踊り、幕を閉じたワークショップ=11月16日、米国UCLAの図書館

 宮古諸島の北西にある離島「池間島の言語と文化―池間プロジェクト」と題したワークショップが11月16日、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で開かれた。

カナダから大野剛アルバータ大学教授、田窪行則京都大学教授、岩崎勝一UCLA教授3人が2006年から始めた「共同研究プロジェクトの発表会」という形で実行された言語記述調査の一環。
 池間の言語は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)から「絶滅危機にさらされた言語」の一つと指定され、3教授の努力が保存・維持の大きな支えとなると期待が寄せられている。
 岩崎UCLAアジア言語・文化部教授は突然、宮古島の言葉を交え英語と日本語で司会し「池間の言語はあと50、60年で消滅する危機に直面している」と表現、聴衆を驚かせた。
 田窪京大教授は「この研究に携わって7年、宮古島西原に行くのは30回目。池間が危機言語であることを確認し、危機言語を維持するための方法としての電子博物館を提案し、そのデモンストレーションを行った」などと報告した。
 池間の言語を使う人は現在約3千人いるとされるが、40歳以下の人は標準語教育を受けてきたため、話すことができないという。
 伝統ある池間の言語を存続させようと、さまざまな試みに取り組んでいる西原出身で元宮古高校校長の仲間博之さん(65)と、宮古島の老人クラブ「西原みどり会」のコーラスグループ「ゆりの会」メンバーら計8人がこの日、伝統の歌や踊り、遊び歌などを紹介した。
 池間の言語を話す西原地域のメンバーが仲間さんの次女寛子さんの三線に合わせ「てぃんさぐぬ花」などを歌い、遊び歌や沖縄本島の「カチャーシー」に相当する踊り「クイチャー」を参加者と共に踊った。(当銘貞夫通信員)