【島人の目】日伊の懲りない面々


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 16日の衆院選の模様を遠いイタリアから注意深く見つめた。いくら民主党への失望と怒りが大きく、また選挙制度の影響もあるとは言え3年前にレッドカードを突き付けた自民党へ国民が雪崩を打って擦り寄り、自民党が圧勝したのは驚きだった。

 長く日本をリードし繁栄も招いた自民党の功績は大きいが、官僚支配の硬直した体制をもたらしたのも同党であり、それを打破しようとして政権交代が実現したはずだ。それなのに、突然右へ倣え、みんなで渡れば怖くない、とばかりに極端から極端に振れる日本世論は不可解だし悲しい。
 そして何よりも、命懸けの覚悟で務めるべき一国の首相職を「ボク、や~めた」とあっさり投げ出した前歴を持つ安倍晋三さんが、平然と次期首相に納まるのも不思議だ。
 来年2月に総選挙が予定されているここイタリアでも、少女買春疑惑など多くのスキャンダルにまみれたベルルスコーニ前首相が、政権復帰を目指してうごめいている。仕事をきちんとやれば政治家の過去の醜聞などどうでもいい、ということなのか。大いに違和感がある。
 それにしても、選挙や政局の動乱を見るたびに、日本とイタリアの政治は「ホントに良く似ている」といつも思う。2国とも先進国で、文化や創造性など一流の多くの優れたものに恵まれながら、政治も政治家も常に三流。
 こうなったら仕方がない。特に経済や外交などで厳しい局面にあるわが国の安倍さんには、今度こそ、腸が少々壊れたぐらいでは逃げ出したりせず、死ぬ気で頑張ってほしいものだ。(仲宗根雅則、TVディレクター)