ひめゆり平和祈念資料館(島袋淑子館長)はこのほど、資料集「生き残ったひめゆり学徒たち―収容所から帰郷へ」を発刊した。
資料館がこれまで展示や書籍で伝えてきたのは、ひめゆり学徒が沖縄陸軍病院へ動員された1945年3月23日から、6月18日までの解散命令を経て収容されるまでの戦場体験が中心だった。今回の資料集では、収容所生活から家族に再会するまでの短い期間に焦点を当てた。島袋館長は「収容所に入ってからも亡くなった友人のことを考えていた。生きていても苦しみが続き、目に見えない傷があることを若い人に知ってほしい」と話している。
「生き残ったひめゆり学徒たち」は、元ひめゆり学徒24人による手記「収容所から帰郷へ」「学友の遺骨をさがして」で構成。学芸員らのコラムを挟み、当時の写真を掲載し、一般書籍のような読みやすさを心掛けた。
津波古ヒサさんは解散命令後に収容され、玉城村百名(当時)で孤児たちの世話をした体験をまとめた。「孤児院」内の学校では、大型台風が襲来した時に、また戦争が来たと思い込んだ子どもたちが「おっとーよう、おっかーよう」と泣きわめいていたところを、抱っこして避難した様子を記した。
比嘉文子さんは終戦から30年余たって、学友の遺骨を糸満市の大度海岸で遺族と探した様子をつづった。遺骨の代わりに小石を骨つぼに納め「一緒に帰ろうね」と呼び掛ける遺族の姿に、胸が詰まった思いを書いた。
同館では、来年3月31日まで企画展「生き残ったひめゆり学徒たち」を開催している。
説明員の仲田晃子さんは「生き残った方々の戦後や資料館を造るまでの話など、これまで語れなかったことも伝えていくべきではないかと考えた」と発刊の意義を語った。資料集は1500円で、同館で購入できる。
(国吉美千代)
英文へ→Himeyuri students publish new book telling the invisible wounds of the war