空軍仕様オスプレイ配備 反発恐れ火消し躍起


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報道官は発言修正

 米空軍トップが空軍仕様の垂直離着陸機CV22オスプレイの日本への配備計画に言及した。CV22は米空軍特殊作戦司令部が運用している輸送機で、日本国内の特殊作戦司令部の下部組織は、嘉手納基地に所属する第353特殊作戦群のみ。ドンリー空軍長官はCV22オスプレイの嘉手納配備計画の存在を事実上認めたことになる。

 だが、国防総省のリトル報道官は会見から数時間後、「アジア太平洋地域への配備は数年先だ。受け入れのための建設すら始まっていない」とした声明を発表。配備先については政治的状況も踏まえた上で検討することを強調して司令官発言を修正するなど、“火消し”に動いた。
 国防総省の慎重姿勢の背景には、海兵隊仕様のオスプレイの普天間飛行場への配備が日米間で政治問題化したことに対する警戒がある。米政府関係者は「オスプレイの配備計画の取り扱いは非常にデリケートになっている」と吐露した。米側がCV22オスプレイの嘉手納基地配備を日本側に伝えたとする9日の報道後、国防総省は本紙の取材に応じ「報道は正確でない」と反論。「アジア太平洋地域の複数カ所は検討はしているが、決定した計画はない。策定段階の計画の過程や詳細は明らかにできない」としていた。
 そうした中、ドンリー空軍長官は11日の会見で、沖縄を含む日本への配備計画について「ある」と明言し、内部で計画が存在していたことがあらためて明らかになった。
 リトル報道官は「CV22は特殊作戦用のオスプレイで、発着場に関しても世界の安全保障環境に合わせた柔軟さが求められる」と理由を挙げ、確定した配備計画がないことをことを強調したが、配備先の候補に嘉手納が挙がっているか否かについては言及しなかった。
 同報道官は「CV22について日本側には何も伝えていない」とするが、普天間飛行場へのオスプレイ配備の10年以上前から、日米が水面下で協議していたことが裁判資料などで明らかになっている。
 空軍全体の計画では、CV22は嘉手納基地にも配備されている既存の輸送機MC130などの後継機。普天間に配備された海兵隊仕様のMV22オスプレイ同様、「機種更新」を理由に最終的に沖縄に強行配備される恐れもありそうだ。(松堂秀樹)