発展著しいアジア諸国。沖縄はそうした近い海外とつながることで、どう自らの発展を見いだせるか。本紙で「アジア輝く息吹-ウチナー新時代」を連載している遠山光一郎さんに、アジアにおける沖縄の可能性などを聞いた。
-アジアの現状と、目指すべき沖縄の姿は。
「シンガポールの1人当たりGDP(国内総生産)は日本を抜き、人口も1994年に300万人だったものが、500万人に増えている。他の東南アジアでは特にインドネシアとタイは製造業が元気があり順調に成長している」
「沖縄からシンガポールに来た人はよく『沖縄をシンガポールのように』と言うが、どこかの国のスタイルをまねするのではなく、沖縄型を目指すべきだ。シンガポールは知的集約型の産業が中心で、何事にもスピード感がある。沖縄には風土に合ったやり方があるはずだ」
-沖縄の可能性は。
「約20年前は、アジアにウチナーンチュは少なかった。しかしその後、増え始め、今は2世が生まれている。世界のウチナーンチュ大会でも、アジアからの参加者はまだ少ないが、こうしたアジアの県系人とつながることで、お互いの国や地域への理解を深めることができる」
-県が力を入れている観光やITの面で大切なことは。
「観光の面では、沖縄は海を前面に出すばかりではなく、1年を通して来てもらえるように、食べ物やショッピングを充実させた方がいい。日本の中の楽園というイメージで、沖縄料理だけでなく、日本食も売っていくことだ。ITの面では、沖縄では人件費が安いというようなことを売りにするのではなく、市場を創造していくことだ」
-新年の抱負は。
「沖縄で今、必要なのは国際的に通用する人材の育成だ。今はアジア諸国の企業が日本の企業に投資する時代。語学を身に付け、専門性を育てる教育が求められる。私としてはアジアから沖縄へのエコスタディーツアーを企画したい。また沖縄から優秀な人を長期留学させるのではなく、広い層の沖縄の若者が短期留学や研修できる仕組みをつくりたい」(聞き手 新垣毅)