「森の恵み」食や薬用に 琉大がシンポ


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森から採れる天然資源活用の可能性などについて5氏が講演したシンポジウム=10日、名護市民会館

 【名護】琉球大農学部主催の地域貢献シンポジウムが10日、名護市民会館で開かれ「森の恵み」をテーマに、研究者、加工・販売業者5氏が天然資源の活用や可能性について講演した。

 琉大農学部教授の金城一彦さんは、食用や薬用に使われる生産物「特用林産物」の可能性を紹介。沖縄で確認されているキノコは350~400種あり「野菜に比べてビタミンCは少ないが、ビタミン類は非常に豊富」と機能性食品としての価値を強調した。
 未利用資源として国頭村などで「ヤマリンゴ」と呼ばれ、食用にされる植物「タンゲブ」についても説明。見た目が似ているブルーベリーより高い抗酸化機能を持つことを明らかにし、今後の活用に期待した。
 在来の植物から有用成分を抽出して活用する生物資源研究所所長の根路銘国昭さんは、センダンエキスに人のがん細胞39種類のうち20種類を効果的に殺す効果があると指摘。従来の抗がん剤は複数の薬を組み合わせることで副作用が大きいとして「患者を安全に救う研究を進める。森は生き物の存在に欠かせない創造的な物質を提供してくれる」と語った。
 このほか、県森林資源研究センター所長の宮城健さん、ポッカサッポロフード&ビバレッジ主任研究員の福本修一さん、あーびゃーんもーゆ琉球月桃代表の田島勝さんが講演。それぞれ在来植物を活用した食品や商品開発について話した。