政府、確認姿勢示さず オスプレイ嘉手納配備


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 米空軍長官が11日の会見で、空軍仕様の垂直離着陸機CV22オスプレイの沖縄を含む日本への配備計画を表明した。だが、小野寺五典防衛相、岸田文雄外相の両大臣は「何も聞いていない」「承知していない」と通り一辺の回答を繰り返すばかりで、配備計画があるかどうかさえ、確認する姿勢を示していない。

 米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備では、10年以上前から、日米が水面下で協議していたことが裁判資料などで明らかになっている。安倍政権の姿勢は県民の反発を恐れ、普天間飛行場への配備計画をひた隠し、直前になって認めるというこれまでの日本政府の対応と重なる恐れが出てきた。
 「わざわざ確認する必要はない」。小野寺氏は13日、県民が求める米軍嘉手納基地配備の有無について、米側に問い合わせる考えがないことを繰り返し強調し、消極姿勢を示す。
 岸田氏も「(配備を)決定していないという声明が発せられた。それがアメリカの対応だ」と述べるにとどまり、米側が検討しているかについて言及を避けた。基地問題をめぐり、「県民に丁寧に説明したい」と繰り返している姿勢と矛盾する対応だ。
 両大臣の姿勢に政府関係者は「米側に問い合わせ、『そうだ』と言われたとき、日米関係を考えると、否定することも、沖縄の現状を考えて了承することも難しい。あえて日本側から聞かない」と分析する。外務省幹部は「沖縄の現状を考えても、嘉手納への配備はない。打診があっても拒否したい」と沖縄の反発を懸念し、強い態度で臨む意向をにじませた。
 アジア太平洋地域に軸足を移す新戦略を進める米側にとって、CV22オスプレイの配備は不可欠とみられる。県が日本政府に対し、幾度もMV22オスプレイの普天間飛行場への配備について問い合わせてきたにもかかわらず、政府は否定し続けた。配備直前になって認めた政府に対し、県側は不信感を募らせた。安倍政権が同様な対応に終始すれば、沖縄との信頼関係構築は困難なものになり、日本政府と沖縄の溝は一層深まる。(問山栄恵)