砂川事件 最高裁長官「一審は誤り」


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新たに発見された砂川事件に関する米公文書

 【東京】米軍旧立川基地の拡張計画に絡む1957年の「砂川事件」で、米軍駐留を違憲とした東京地裁判決(伊達判決)を破棄した田中耕太郎最高裁長官(当時)が、マッカーサー駐日米大使(同)と会談し、「(伊達)判決は全くの誤りだ」との判決の見通しを示していたことが17日、米公文書から分かった。

 元新聞記者で、日米関係に詳しいフリージャーナリストの末浪靖司氏が2011年9月、米公文書館で、機密指定を解除された公文書から会談内容が書かれているのを発見した。これまで田中長官とマッカーサー大使との会談があったこと裏付ける文書が公開されていたほか、大使が藤山愛一郎外相(当時)に高裁を飛び越して最高裁への「跳躍上告」を勧めたことなどを示す文書が見つかっていたが、判決破棄に至る内容に踏み込んだ文書が見つかったのは初めてという。
 文書発覚を受け、砂川事件の元被告、土屋源太郎さん(78)ら「伊達判決を生かす会」のメンバー7人は30日、当時の会談録や田中長官の業務日誌などの文書を開示するよう最高裁に請求する。
 17日、都内で記者会見した土屋さんは「米側の司法への介入が明らかで、ゆがめられた形で最高裁判決が出た。沖縄での米兵による暴行事件などで明らかになっているように、第一次裁判権の放棄の密約や日米地位協定など現在も司法への介入が続いている」と指摘した。
 公文書は最高裁判決の約1カ月前の59年11月5日付で、マッカーサー大使が米国務長官宛てに送った公電。裁判長だった田中長官の発言について「最近の非公式会談で、来年の初めまでには判決を出せるようにしたいと言った」「伊達裁判長が憲法上の争点に判断を下したのは全くの誤りだと述べた」と報告した。