那覇市消防職 定数71人増 災害対応強化、346人に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇市消防本部=同市銘苅

 那覇市消防本部(仲里仁公消防長)は消防力の強化に向け、消防職員数の上限(条例で定められた定数)を、これまでの275人から346人に引き上げた。

市職員数削減が続く中、異例の引き上げ。市消防職員の充足率が全国平均に比べ低かったほか、東日本大震災を受け、複雑で大規模化する災害に対応する必要が出てきたことなどが背景にある。仲里消防長は「人員問題は市消防の一番の課題だった。市民の安心、安全を確保したい」と話した。
 市議会12月定例会で、市職員定数条例の改正案を全会一致で可決した。
 現在、那覇市の消防職員数は条例で定めた定数275人に対し、実際の人員は271人となっている。国が「消防力の整備指針」で示している、自治体の規模から試算した目安(456人)に比べ、充足率は59%にとどまっている。
 一方、救急隊1隊当たりの年間救急出動件数は3461件(2011年)で、大阪市の3503件(同)に次ぎ全国2番目に多い。救急隊1隊当たりの世帯数も2万7788世帯(同)で、札幌市の3万1586世帯に次ぎ2番目に多い。
 消防職員数の増強は市議会でもたびたび取り上げられるなど、長年の市政の課題だった。
 新しい定員数(346人)は、国の整備指針の目安(456人)に全国の平均充足率(76%)を加味して設定された。
 実際の増員は、歳出削減策として市当局が進める「第二次那覇市定員適正化計画2200プラン」が終わる14年3月以降になる見込みだ。市当局が今後策定する新たな定員適正化計画の中で、消防職員の増員策を打ち出す予定だ。
 増員により救急隊を現在の6隊から8隊へ増やすことや、現在消火部隊がいない国場出張所に消火部隊を配置し、市南東地域の消防力強化などを図りたい考えだ。
 仲里消防長は「これまで課題だった職員数が増やせるようになる。消防職員一人一人の技量もより高め、質と量の両面で強化し、消防力の向上に努めたい」と語った。