変化に富むリズム 喜舎場盛勝会長芸歴60年独演会


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幕開けで門下生らと共に器楽合奏「瑞雲」を披露する喜舎場盛勝(前列中央)=3日、浦添市の国立劇場おきなわ

 「光史流太鼓保存会」喜舎場盛勝会長(師範)の第2回独演会と芸歴60周年記念を兼ねた公演「傘寿で挑む」が3日、国立劇場おきなわで行われた。創作太鼓や琉舞、太鼓演奏に乗せた空手演武などを披露した。

太鼓の魅力を引き出す創作を盛り込んだ演目構成や島袋光史師匠に関する対談から、亡き師匠の技芸を次代へ継ぐ思いがにじんだ。
 幕開けは器楽合奏「瑞雲」(島袋光史構成)。喜舎場を中心に太鼓や歌三線奏者が囲むように配置し、息の合った演奏を響かせた。「かぎやで風」は老人役の眞境名正憲、老女役の島袋光尋ら7人で踊り節目の舞台を祝った。
 創作太鼓「暁雲と連れて」(喜舎場構成)は冒頭、薄暗い照明の中で波の音とほら貝の音が響き、夜明けの雰囲気を演出。沖縄の太鼓だけでなく、中国やベトナムなど、国内外の打楽器を取り入れ、変化に富んだリズムで楽しませた。
 空手演武に合わせ、喜舎場らが力強く太鼓演奏を響かせた「太鼓と空手」、同保存会会員が地謡も踊り手も務めた「松竹梅鶴亀」も楽しませた。
 創作「猿引き」(台本・選曲=勝連繁雄、作詞=喜舎場、作曲=與那覇徹)は喜舎場が演じる猿引きと、慶佐次明子が演じる猿による名護の許田から塩屋までの道行きを描いた。移動するたびに背景画も変更。塩屋では猿が塩作りに励む人々の動作をまねたり、一緒に遊んだりと遊び心のある展開は笑いを誘う。気まぐれな猿と穏やかな猿引きのほほ笑ましいやりとりを喜舎場、慶佐次がユーモアたっぷりに表現した。
 最後の創作太鼓「真南風」(原案=浜端裕之、作曲=仲西勇真、構成=喜舎場)は、「上り口説」を基に琉球から薩摩へ交易のための船旅の安全の祈りを込めた作品。雷も鳴り響く中で北上する船の無事を願う演奏を響かせた。