5日に発生した米軍普天間飛行場所属のオスプレイによる「水ボトル落下事故」で、在沖米海兵隊はトラブルを起こした部隊から報告を受けた上で、同日中に防衛局に情報を伝えていた。部隊を特定していれば当然、航空機の機種を把握しているはずだが、海兵隊は翌6日夜まで公表しなかった。
オスプレイ配備への反対が渦巻く中、反発を恐れて“情報隠し”を図ったことが濃厚だ。安全性に疑念を深める県民に背を向けた、米軍の恣意(しい)的な対応が、自治体や県民の不信感を増幅させた。
沖縄防衛局は5日午後4時半と6時半に米軍機から飲料水ボトルが落下したとの情報を受けたが、米軍は機種については触れなかった。翌6日午後、「落下」が発覚し、マスコミから在沖米海兵隊へ問い合わせが相次いだことから、同軍は深夜10時前になって防衛局へ「機種がオスプレイであることを報道機関に公表する」と連絡した。
オスプレイ絡みだから、できるなら隠したかった―との疑念が浮かぶ。県や基地所在自治体は米軍の公表遅れを問題視している。
在日米軍の動きを監視、情報を公開している市民団体「リムピース」の頼和太郎氏は「事故があれば、まず、どの機種が何時に起こしたのか公表することは必要最低限だ」と話す。その上で、県内で同機種の飛行を目視した経験から、こう指摘する。「オスプレイの飛び方を見ていると、後方のハッチを大きく開けていることが多い。オスプレイは後方の視界を確保するため後部ハッチを開けることが多いのではないか。機内から後方に落下する事故が今後も起きる可能性が高い」。オスプレイは実際、2011年にアフガニスタンで乗組員が飛行中の機体から落下、先月も米カリフォルニア州で飛行中にバケツを落下させる事故を起こしている。
武田博史防衛局長は7日、記者団に「決められた手順に従って関係自治体に連絡した」と説明した。米軍事故に関する連絡体制は、日米合同委員会合意で定められており、米軍は手順を踏んで防衛局に連絡したとみられる。だが、意図的に「機種」などの重要な情報を伏せることができる“不備”も浮き彫りになっている。
(内間健友)