進路決定率最高95% 特別支援校11年度卒業生


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 県教育庁がこのほどまとめた県内の2011年度特別支援学校高等部卒業生の進路状況で、卒業生の進路決定率は95・2%に達し、統計を始めた1995年以降、過去最高となったことが9日までに分かった。

一般就労のほか、就労移行支援を含む福祉就労など、進路を決定した生徒は、全卒業生289人のうち275人に上った。この理由について学校関係者は、職業訓練を積める就労移行支援事業所に入りたがる生徒の増加を指摘。同事業所の職業訓練を積むことで就職だけでなく、就労後の定着にもつながるなど“好循環”が生じている。
 県教育庁のまとめでは、一般就労は51人(17・6%)だった。地域活動就労支援センター、就労移行支援事業所、継続支援A型、継続支援B型の福祉就労に進んだ卒業生は119人(41・2%)で、前年度より19人増えた。119人のうち、就労移行支援事業所に進んだ生徒は前年度比16人増の69人で、同事業所を進路先として選択する生徒は増えている。
 沖縄高等特別支援学校南風原高校分教室で進路指導に携わる仲松智教諭は、06年の障害者自立支援法の施行で進路に就労移行支援事業所という選択肢が加わったことを進路決定率上昇の要因に挙げる。
 仲松教諭は「(同法施行)以前は就労できるレベルにない子でも一般就労に向かわざるを得ないこともあったが、そうした不安を抱える生徒の保護者がいったん職業訓練を受けさせる場所として事業所を選んでいる」と指摘。同事業所は就職後の定着率の改善にもつながっているとみる。
 島尻特別支援学校進路指導部の宮城喜一教諭は事業所からの一般就労について「事業所は、障がい者雇用の場を開拓している」と事業所から一般就労を目指しやすい側面を挙げた。
 09年に県立鏡が丘特別支援学校を卒業後、就労移行支援事業所に進んだ喜舎場俊基さん(22)は現在、浦添市のオートバックスニューマチナト店で顧客の車両情報などを入力する事務作業に励む。喜舎場さんは事業所での職業訓練で、エクセルやワードなどのパソコン操作を学んだ。「卒業時はパソコンを使いこなすことができなかった。事業所で勉強したことが今の仕事に生かされている」と笑顔で話した。(当間詩朗)

<用語>就労移行支援事業所
 就労を希望し、一般企業や事業所への就労が可能とみられる障がい者に一定期間(2年以内)、就労へ必要な知識や職業訓練を行う事業所。就職後の定着支援も行っている。適正に合った職場探しから職場定着まで支援している。事業所によっては障がい者雇用の場も開拓する。県内では県から83カ所の事業所が指定され、支援を実施している。

「就労移行支援事業所で学んだパソコン操作が仕事に役立っている」と話す喜舎場俊基さん=浦添市のオートバックスニューマチナト店
障害者自立支援法(2006年~)によって変化した「高等部卒業後の進路先」