リュウキュウアユ 人工水路で初産卵


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リュウキュウアユアユの産卵が確認された人工水路

 沖縄総合事務局は21日、福地ダム下流の人工水路でリュウキュウアユの産卵を確認したと発表した。リュウキュウアユの人工水路での放流、産卵は全国で初めて。

リュウキュウアユは、1978年に沖縄本島から絶滅。復活に向けて92年以降、奄美産のリュウキュウアユを県北部のダム湖や河川に放流している。人工水路での産卵が確認されたことで、川と海を行き来する本来の生態に近づき、リュウキュウアユの定着、復活が期待できるという。
 総合事務局によると、リュウキュウアユは全長15~18センチ。本土産のアユに比べて小さく、ずんぐりした形をしている。サケなどと同じく、ふ化後に川を下り海に出て、春に川に戻ってくる「両側回遊魚」だ。
 これまでのダム湖での放流、産卵では、ダムの外に出られないため、川と海の行き来ができなかった。しかし、福地川や海とつながる人工水路での産卵で可能になり、アユ本来のサイクルを取り戻すことができるという。
 2012年11月21日と13年1月11日の2回に分けて100個体を人工水路に放流。1月16日、17日に稚魚が確認された。約2千個体がふ化したとみられる。
 人工水路は、福地ダム下流右岸脇で全長116メートル。川幅と深さは自然の川のように変化をつけている。一般の人が川に親しみ、自然学習をすることを目的に、総合事務局が12年度整備した。
 総合事務局は今後、追跡調査で、福地川などの河川での定着可能性を確認。かつてリュウキュウアユが多数生息していた本島西海岸の羽地ダムなどでも実施し、復活を目指すとしている。