花子と太郎の像 再生 乳牛育てた卒業生ら


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「花子と太郎の像」を親子2代で塗り替える伊江村立西小学校30期生ら=2月7日、伊江村立西小学校中庭

 【伊江】伊江村立西幼稚園・小学校(古謝治校長)の新校舎落成に花を添えようと、同校中庭にある乳牛の「花子と太郎の像」のペンキ塗り替えが、2月4日から7日まで行われた。同校30期生(1975年生まれ)7人と在校生8人が参加した。

 30期生40人は4年生から6年生までの3年間、校内で乳牛の「花子」を飼育した。当時担任だった野村進教諭が命の大切さを知ってほしいと考え、飼育を始めた。「花子」は、畜産業を営む当時の児童、島袋豊さんの父から無償で贈られた。
 初代花子は妊娠5カ月でキョウチクトウを食べて死んだため、2代目花子も無償で贈られ、翌年、子牛の太郎が誕生した。
 卒業間近の1988年2月、保護者らが話し合い、2頭は競りで売却された。3月には、卒業記念に「花子と太郎」を永遠に残そうと像の建立が決まり、売上金の一部が充てられた。保護者らが15日間かけて手作りし、実物の約3分の2の像が完成。「三年間牛を育てて」という文集も残されている。
 親子でペンキ塗りに参加した30期生の上地真紀さん(37)は「像を見るたびに当時を思い出す。まさか親子で色塗りができるとは思わなかった」と話した。30期生は、本島に住む野村教諭を二十数年ぶりに訪ねる計画をしている。
(中川廣江通信員)