小中で琉球史授業 特例制使い、全国初 中城村教委


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※文科省資料から作成(クリックで拡大)

 【中城】郷土の歴史を知る国際的な人材を育成するため、中城村教育委員会(安里直子教育長)は教育課程特例校制度を活用し、2014年度から小学校に琉球史の時間を設置する。年間15時間程度を手始めに、最終的に35時間(週1時間)の授業を目指す。

村は一括交付金を活用した教育改革プロジェクトを12年度から進めており、13年4月には教員らが教科書の執筆を始める。同制度を活用した地域史学習は全国的にまれで、琉球史は初めて。
 中学校は15年4月開始の予定。13年夏に文部科学省に申請する。県内の小学校ではこれまでも副読本を使い「社会科」で琉球史に触れるが、質量ともに個々の教員によるところが大きく、時間も限られるため、幼稚園から中学校を通じて授業時間を確保し、系統立てて学ぶ必要があると判断した。
 世界遺産の中城城跡を有し、琉球王朝時代には護佐丸の拠点だった中城村では、次世代への文化の継承に欠かせない歴史学習の機会が限られていた。村は護佐丸歴史資料館の建設を予定しているほか、これまでも「ごさまる陸上競技場」の命名や、マスコットキャラクター「護佐丸君」をつくることで村民の郷土史への関心を高めてきた。
 浜田京介村長は「われわれは信長や家康は知っているが(琉球王朝の)尚氏は教わらなかった。教育環境を広げることで、琉球の歴史を知り、自分の先祖を知る一つのきっかけになればいい」と話している。
 同制度は、小学校低・中学年の英語教育に活用される例が多く、現行の「生活科」や「総合的な学習の時間」などの一部を「英語科」などに組み替えるところが宜野湾市、金沢市など12年4月現在148件(1527校)ある。(増田健太)

<用語>教育課程特例校制度
 学校独自の時間割をつくることができる制度。旧構造改革特別区域研究開発学校設置事業。小泉構造改革の一環で2003年に始まり、08年に現制度に簡素化した。学校は文部科学省が学習指導要領で定める授業時間数を守る必要があるが、特例校では、市町村教育委員会などの申請に基づき一定要件を満たせば文科相が授業時間の増減を認める。指定は12年4月現在206件2591校。

英文へ→Schools to teach history of the Ryukyu Islands