県内世論 転換目指す 政府、辺野古推進派の存在強調


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知事許可へ環境整える
 政府は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向け、県に3月末に埋め立てを申請する方向で詰めている。辺野古移設の早期実現を求めて上京した本島北部の経済関係者らでつくる北部地域振興協議会に、官房長官、外相、防衛相ら関係閣僚が直接面談する異例の“厚遇”で臨んだ。申請後に仲井真弘多知事が埋め立て許可に傾く環境を整えることを目指し、県内移設の機運喚起に腐心している政府が、県内では少数派の移設推進派の存在を強調する動きが目立つようになってきた。

 「組合長の発言からしても、名護漁協が同意する見通しは立っている。2月には移設推進の大会も名護市で開かれ、多数の参加者がいたと聞いている。辺野古移設に反対の声ばかりでないということだ」
 防衛省幹部は、北部振興協や名護漁業協同組合(古波蔵廣組合長)の動きを挙げ、県外移設要求が「オール沖縄」でないとしている。
 日米首脳が、辺野古移設の早期推進で一致したことを受け、政府は名護漁協に公有水面埋め立ての同意を求める文書を先月26日に提出。古波蔵組合長は「(組合員の)99%が賛成する」との見通しを示し、あらためて移設容認をアピールした。
 名護漁協の同意書は、申請する段階で必ずしも求められていない。だが、申請前に名護漁協が辺野古移設に理解を示すことで、政府内、移設反対が根強い県内世論の風向きを変える契機にしたいとの思惑が見え隠れする。
 今後は県外移設を求める自民党県連や自民党所属の県選出国会議員が県内容認に転換するよう、働き掛けを強めるとみられる。さらに、嘉手納基地より南の施設の返還やMV22オスプレイの訓練移転などで基地の負担軽減をアピールし、来年2月の名護市長選挙で移設推進の市長を当選させる算段を描いている。(問山栄恵)