サバニ造り 技術継承 MJC賞に大城清さん(糸満市)


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「サバニを取り巻く環境は良い方向に変化している。今後のサバニの活躍が楽しみ」と話す大城清さん=糸満市西崎町の糸満海人工房・資料館

 【糸満】マリンスポーツ専門誌の編集長やジャーナリストらでつくる、マリンジャーナリスト会議(東京都)はこのほど、MJCマリン賞2013(文化・普及部門)を糸満式伝統サバニの製造・普及を長年続ける舟大工の大城清さん(63)=糸満市糸満=に授与すると発表した。

同賞は、マリンスポーツやレジャー分野で活動し、顕著な実績を残した個人、団体に贈られるもので、県内からの受賞は4回目。
 大城さんは「先人たちが伝えてきた(サバニ製造の)知恵を、私がたまたま受賞したにすぎない。先輩方に感謝したい」と話している。13回目の表彰式は3月9日、横浜市で開かれる。
 授賞理由は「糸満式サバニの伝統的な造船技術と帆漕技術の継承」。サバニの舟大工が減少する中、製造技術を弟子の高良和昭さん(40)=同市兼城=に継承している点や、自らレースに出場して舟の操船技術や完成度の高さを証明している点―などが評価された。
 大城さんは、中学卒業後、舟大工だった父の手ほどきを受けて、サバニの製造方法を学んだ。船舶技術の向上が進み、サバニの需要がほとんどなくなった後も、船舶修理業を営みながら、技術の継承を続けてきた。これまで造ったサバニは、約80隻にも及ぶ。
 サバニは近年、マリンスポーツの一種として注目を浴びている。大城さんは、これまで主流だった全長7メートル程度のサバニを5メートル前後に小型化して、少人数のマリンレジャーでも楽しめるよう、改良を進めている。大城さんは「サバニの漁船としての役目は終わった。今後はマリンスポーツとして観光で生かせればいい」と新たな“可能性”に期待をかけている。

英文へ→Itoman Sabani boat builder wins MJC award