【アメリカ】沖縄の歴史 後世へ ドンさん、記録をウェブ発信


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 米アリゾナ州、ツーソンの郊外に住むドン・キューソンさんは「REMEMBERING OKINAWA HISTORY」と題し、1945年から72年までの米軍統治下にあった沖縄の記録を残すためウェブ・サイトを作成し発信している。ドンさんは「月日がたち、当時の沖縄の記憶が忘却のかなたに消えようとしている。このサイトを見ることによって当時の沖縄を思い出させ再び心に刻まれることを願う」とある。

 ドンさんはサイトの目的をさらに「米国、沖縄両サイドに忘れてほしくない当時の記録をとどめた。今、若者は戦後沖縄で何があったのか、さらに戦争で生き延びた祖父母や両親らが戦後どのように生きてきたか、戦後アメリカ軍が沖縄の再建のために力を注ぎ、貢献した事実を知らずにいる。私の収集した資料の全てがその答えとして役立つものと思う」と記している。
 サイトでは各基地や那覇、コザなどの町並みや風景、そして働く人たちや県民の日常生活のスナップ写真が時代ごとに紹介している。60年代の波上宮のビデオも撮影されていて興味深い。それ以外にも当時の絵葉書や沖縄切手、沖縄空手のコーナーもあり、遺品や記念品、読者からのコメントも寄せられている。
 45年から72年間のコレクションの一部151点をドンさんは沖縄のNPO法人琉米歴史研究会に提供し、それが本紙で紹介された。
 ことし70歳のドンさんは63年に空軍に入隊。嘉手納空軍基地に配属され4年間沖縄に駐留した。縁あって那覇市出身のキムさんと結婚。空軍を退役後航空宇宙開発産業に従事し、ミクロエレクトロニクスを製造し月面着陸等のプロジェクトにも携わった。ビジネスの学士号、修士号はエンジニアリングを取得した。
 その後、海軍予備軍で海軍少佐になり、その間も民間の会社で電機技師としてメキシコや韓国、中国などでの工場の設置、製造工程や設備の管理に携わった。
 ドンさんは「沖縄滞在の数年間は自分の人生の中でも有意義な日々だった。今日、沖縄は大きく変わってしまった。ウエブサイトを始めた理由は古き沖縄への思いをはせるためだった」と答えた。ドンさんのウエブサイトはwww.rememberingokinawa.com
(鈴木多美子通信員)

英文へ→American veteran passes on information about Okinawa’s postwar history