【島人の目】素晴らしい映画との出合い


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 ベルリン映画祭に行けないと思っていたのが、勤務先の音楽学校がカーニバルのため4連休となり、ドイツ・ベルリンで取材することができた。
 着いたその日に、ベルリン近郊、そしてドレスデンに住む県人会員、沖縄から来た10人の映画祭関係者との親睦会が持たれた。

 地ビールを飲みながら、ドイツの豚足料理・アイスバインとソーセージが瞬く間になくなっていくのを見て、ドイツならではの太った給仕のおばさんが、一言「あなたたち日本人に見えないね!」。こんなにたくさんのアイスバインを食べられる日本人は初めてなのだそうだ。
 さて、晴れて私は映画「カラカラ」を見ることができた。ドイツで見る沖縄の景色は特別だった。どんどん感傷的になっていく自分がいた。そして「バサッ、バサッ」と芭蕉(ばしょう)を切る音とともに、私の心は、主人公と一緒にどんどん別の世界に引き込まれていった。そして、沖縄の自然と文化は人の心を癒やす大きな力があるのではないかと思わされた。
 もう一つ、映画祭で素晴らしい映画を見た。特別賞を受賞した作品「先祖になる」だ。主人公の老人、佐藤直志さんと、「カラカラ」に登場した人間国宝・平良敏子さんが、私の中で重なり、2人の体からあふれるメッセージが私に感動と力を与えてくれた。二つの素晴らしい映画との出合いに感謝する。(外間久美子ドイツ通信員)