障がい者避難で手引書 バリアフリーネット会議


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
高齢者や障がい者の観光客に特化した「逃げるバリアフリーマニュアル」を制作した親川修さん=7日、沖縄市照屋、バリアフリーネットワーク会議

 「NPO法人バリアフリーネットワーク会議」はこのほど、「逃げるバリアフリーマニュアル」を制作した。マニュアルは、高齢者や障がい者の観光客に着目し、災害時の避難・誘導方法について約50ページにわたり指南している。

地震や津波などの災害時、土地勘の無い観光客はホテル側の誘導が必要。これまで着目されてこなかった分野で、マニュアル作りは全国でもあまり例がないユニークな取り組みだ。
 マニュアルには、毛布やシーツ、Tシャツ2枚を担架に再利用する方法や、緊急時のおんぶひもといった福祉器具の紹介、さらに災害時に宿泊客を避難場所に誘導する場所と方法を確認しておくことなど、フルカラーの写真入りで細かく手順を示している。
 障がいの種類別に対応方法を記載しているのも特徴の一つだ。
 「バリアフリーネットワーク会議」代表の親川修さんは、2006年からホテルや観光施設で働く人を対象に全県各地で「観光バリアフリー接遇スキルアップセミナー」を実施している。当時からテキストの一部に、災害時の避難誘導について記載し、セミナーを開いているが、今回災害時の障がい者に特化したマニュアルを作ろうと、県文化観光スポーツ部の協力を得て発行した。
 親川さんは「スロープや障がい者用トイレの設置など『入り口のバリアフリー化』は進んだが、いざ災害時にどのように誘導するか『逃げるバリアフリー』が今後、高齢社会だけに、観光立県の沖縄ではますます必要になる」と指摘した。
 さらに親川さんが重視しているのは「安心と安全はすべての人に平等に」という意識だ。「車椅子だったから、助けられなかったということは許されない」と強調する。
 「右も左も分からない観光客に対し、災害時にホテル側がどう宿泊客を守るか。さらに障がいのある人だったらどのように対応するのか、日ごろから考えておくことが大事」と話す。
 マニュアルは、セミナー受講生には無料で配布している。バリアフリーネットワーク会議は(電話)098(929)1140。