アジアの中継基地に 那覇空港物流シンポジウム


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那覇空港の国際ハブ事業の活用をめぐって意見が交わされた県の沖縄国際航空物流ハブの活用推進事業シンポジウム=21日、那覇市のロワジールホテル&スパタワー那覇

 県は21日、那覇空港を拠点(ハブ)とした沖縄国際航空物流ハブの活用推進事業シンポジウムを那覇市のロワジールホテル&スパタワー那覇で開いた。

沖縄ヤマト運輸の赤嶺真一社長が、ヤマトグループの海外展開戦略として、那覇空港と羽田空港を「デュアルハブ(二大拠点)」と位置付けていることを明らかにした。一方、通関・検疫の手続きやコスト高の課題のほか、沖縄の物流中継基地化や、空輸と海運を組み合わせた「シーアンドエアー」の活用を促す声も上がった。
 赤嶺社長はヤマトの戦略について「2019年にアジアナンバーワンの物流プロバイダー(業者)の目標を掲げ、沖縄はアジアに向けた結節点として考えている」と説明。「日本で最も本土に遠い沖縄という弱点があったが、今はアジアに一番近い沖縄として、日本の中でアジアへ一番安く送れる沖縄を目指したい」と強調した。
 沖縄物流ハブを活用してネット通販の楽天市場で生鮮品のアジア配送を始めた楽天は、第2弾の国際間小口保冷輸送を18日から実施している。今後も配達地域や商材を拡大する。同社楽天市場事業の樋渡勝彦クロスボーダートレーディング部副部長は「沖縄ハブの配送網は想定以上に、ブランド化した国内各地の産品の海外販路として非常に期待を持って見られている」と評価した。
 その上でハブ事業の課題について「コスト面と、国の問題だが、通関・検疫の部分でどうハードルを下げていけるか。スピード配送を生かすために、例えば保税倉庫とかストックポイント(物流中継基地)として沖縄をどう生かすかだ」と今後の展望を示した。
 このほか、ハブ事業に携わる全日本空輸の谷村昌樹沖縄販売部長や南風堂の渕辺直樹専務、県物産公社の上里至社長も登壇。シンポジウムに先立ちアジア展開の事例として、沖縄物産企業連合の山城加寿社長、パラダイスプランの西里長治社長、香港貿易発展局の伊東正裕大阪事務所長がそれぞれの取り組みを報告した。