【島人の目】第266代新ローマ教皇って誰?


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 イタリアは、新ローマ教皇が誕生した今月13日以来、祝賀ムード一色に染まっている。カトリックの総本山バチカンを懐に抱くこの国は、財政危機に端を発した政治の混乱が続いて、2月の総選挙以来誰も組閣できない状態に陥っていた。そんな折に、第265代ローマ教皇のベネディクト16世が突然辞任して、新教皇を選出する秘密会議「コンクラーベ」が開かれた。

 バチカン最大のお祭り騒ぎとあって、国民の9割以上がカトリック教徒であるイタリアは大いに沸き、政治の混乱も空白もすっかり忘れ去られ、人々は宗教上の一大ショーに酔いしれた。
 ローマ教皇とは言うまでもなく、カトリック教最高位の聖職者のことであり、世界中に12億人前後いるとみられるカトリック教徒の精神的支柱となる存在だ。非世襲のほぼ終身職で、過去およそ2000年、265人の教皇は全てヨーロッパ人が占めてきた。
 今回初めて南米出身の教皇が誕生して、バチカンのヨーロッパ偏重主義に風穴を開けた。そればかりではない。新教皇は、清貧の象徴であるイタリア・アッシジの聖人フランチェスコの名を、史上初めて自らの教皇名とした。また彼は強力な宣教活動で知られるイエズス会出身の初めての教皇でもある。
 初ものづくしの新教皇は質素な生活ぶりとつつましい性格が早くも人々の人気を集めている。しかし彼が率いるローマ教会は、聖職者の幼児への性的虐待、バチカン銀行による金融不正事件など、取り組むべき難問が山積していて前途は決して平たんではない。
(仲宗根雅則、TVディレクター)