沖縄電力、LNG供給強化へ 収入源の多様化狙い


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2013年度の経営計画を発表する沖縄電力の大嶺満副社長(左)と仲里武思企画部長=29日、那覇市のおきでん那覇ビル

 沖縄電力(石嶺伝一郎社長)は29日、2013年度の経営計画を発表した。吉の浦火力発電所(中城村)で利用する液化天然ガス(LNG)について、総合エネルギー事業として販売面も視野に入れ供給体制を強化する。

現在沖縄ガスへの年間約2万トンの供給を予定している。今後は吉の浦火力発電所の燃料として購入予定の年間40万トンの一部について、工場やホテルなど新規顧客の開拓を図り、LNGの卸売りによる収入源の多様化を目指す。
 4月1日に新社長に就任する大嶺満副社長が那覇市のおきでん那覇ビルで会見。政府が進める発送電分離を柱とする電力システム改革について「沖縄の電力需要は全国の0・9%程度と小さく、離島を含め送電系統が単独という全国でも特殊な事情を抱えている」と説明。「料金のユニバーサルサービスの確保など電気の安定供給の視点から、発送電の一貫体制が望ましい」と、従来の方向性を強調した。
 経営基盤については、吉の浦火力発電所の稼働に伴う減価償却費や燃料費の増加、電力需要の伸びの鈍化などで極めて厳しい収支状況になると予測。13年度の設備投資額は12年度比26・2%減の347億円と見込んだ。石炭の輸入先をこれまでのオーストラリからインドネシアにシフトしながら燃料調達部門のコスト改善に取り組んでいるほか、設計や契約、施工の各段階でコスト低減策の定着を図る。
 再生可能エネルギーの開発、活用については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎重工業が共同で計画する潮流を利用した「海洋エネルギー発電システム実証研究事業」の委託を受け、県内海域の基礎的な調査を実施する。仲里武思企画部長は「事業の開始などを含め確定したものはない」とした。