「絆」で食生活改善 8市町村で実証事業


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 地域の絆(ソーシャル・キャピタル)を核として食生活習慣の改善と健康寿命を延ばすことを目指す「健康行動実践モデル実証事業」の開始会議が29日、市町村職員、給食センターの栄養士ら約50人が参加して那覇市の自治会館で開かれた。

県福祉保健部が一括交付金を活用して、琉球大学医学部へ委託し実施。浦添市、うるま市、宜野湾市など8市町村の同事業への参加が報告された。
 事業の実施期間は2012年度から16年度まで。学校や自治会、健康づくりのリーダーなど地域の絆を通して、生活習慣病のリスクの高い中高年に食生活習慣の改善を働き掛けるほか、改善に誘導する実践的な方法も開発。参加市町村の教育委員会に協力学校を選定してもらい、「食育の日」を設け、減塩や野菜のメニューを提供し、給食を通して家庭の食事改善も促す。
 講演で日本福祉大学の近藤克則教授は、「ほとんどの健康問題は社会的要因が背景にある」と指摘し、低所得者ほど糖尿病のリスクにつながる睡眠の問題を抱え、喫煙者も多いとの調査結果を報告した。スポーツの会に週1回以上参加している高齢者の割合が多い校区ほど、転倒者は少ないという調査結果から、地域の環境が健康に関連するとの見方を示した。「個人への健康教育には限界がある。社会的なつながりが大事そうだと分かってきた。環境の質の向上が大切」と語った。