4・28「主権回復の日」式典への抗議決議は自民会派の全員退場によって「全会一致」の体裁をかろうじて保った格好となった。文言をめぐって会派間の複雑な感情が絡み合う中、「式典中止を求めるべきだ」「政府に抗議をすべきではない」など正反対の主張がぶつかり、与野党統一案提出による全会一致への歯車は徐々に狂っていった。
決議提出に向け、当初、野党中立会派で与野党統一案による全会一致を目指すことを確認した。野党県議の一人は「トーンが弱まっても抗議が伝わる内容であれば、全会一致を目指すのが出発点だった」と語る。
自民は「4・28『主権回復・国際社会復帰を記念する式典』に対する決議」との表題で、式典の開催が「配慮を欠いたものであり強く抗議する」との文案を提示。自民案から野党や公明が「抗議決議」と表題を改め、文言を「式典開催に反対し、強く抗議する」と修正した。
27日午前の調整で、野党と公明の修正案に対して自民が表題を「抗議決議」とすることや、式典開催への反対に難色を示した。一方で、改革の会は式典開催の中止を明確に盛り込むべきだと強く主張した。
調整がつかない中、公明と野党は「抗議決議」の表題を堅持する一方、反対を取り除く譲歩案を提示。自民党県連の照屋守之幹事長を中心に会派の県議への説得が続いたが、内部でも与野党統一案による「全会一致派」と自民案を崩さない「強硬派」に割れ、まとまることができなかった。
自民の一人は式典開催が衆院選の党公約になっていたことに触れ「県民感情も野党の主張も理解できるが、公約を無視するわけにはいかなかった。ねじれの中で全員退場して全会一致にするしかなかった」と苦しい胸の内をにじませた。
これまで基地問題を中心に全会一致決議を実現してきた県議会だったが、自公連立政権への交代により、自民党県連が党本部との距離感に苦心する局面が続きそうだ。
(池田哲平、与那嶺路代)