海洋温度差発電15日稼働 出力安定へ検証


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15日から稼働する海洋温度差発電実証事業の発電プラント=久米島町の県海洋深層水研究所内

 県は、新たなエネルギー政策として進めていた県海洋深層水研究所(久米島町)の取水施設を活用した海洋温度差発電の実証事業で、3月30日に海水を利用した発電プラントの発電に成功、15日から正式に稼働する。

海洋温度差発電の商用化を想定した海域での本格的な実証試験は現在、どこでも行われていない。
 「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」は2012~14年度の3カ年事業。12、13年度の事業費は約5億2千万円。海洋温度差発電の研究で先端を行く佐賀大学と連携する。
 発電システムは、表層の温かい海水と深層の冷たい海水(海洋深層水)との温度差を電気エネルギーに変換する仕組み。稼働プラントは1基で最大出力は50キロワット。実証事業は将来の大型化や商用化に向け、天候、気温、海水温の変化に伴う発電量の計測などデータを収集し、安定した出力を得るための技術開発などを検討する。
 発電の検証が軸だが、農業分野など複合的な利用の可能性についても検討する構想。当面は1基運用し今後、熱交換器の実験などを行う同等出力の発電プラント1基を設置する計画だ。
 実証試験は土木工事業のIHIプラント建設(東京)、エネルギーベンチャーのゼネシス(同)、各種プラントの制御システム開発の横河電機(同)の共同企業体が県から委託を受けて実施する。