森活用ルールで協定 国頭村安田区と事業者


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森の活用ルールを定めた協定を締結した中根忍代表(左)と神山坦治区長=2日、国頭村の安田公民館

 【国頭】やんばるの森を将来にわたって持続・活用するため、国頭村安田区(神山坦治区長)とエコツアー事業を展開するやんばるエコツーリズム研究所(中根忍代表)は2日、森の活用ルールを定めた「国頭村安田区フィールド活用協定書」を締結した。

伊部岳への入山制限や利用者が環境協力金を区に寄付することなどを盛り込んだ。将来の世界遺産登録を視野に、神山区長は「適正な活動をしてもらうため、他の事業者にも呼び掛けたい」と環境保全のモデルにしたい考えだ。
 エコツーリズム研究所は安田区を拠点に活動している。鳥獣特別保護区に指定される伊部岳は、環境への負荷を抑えるため入山を1回6人、1日12人に制限した。安田区が2002年に創設した環境保全基金に活用するため、海岸を含む安田区でのエコツーリズム事業では参加者1人当たり200円の環境協力金を事業者が区に払う。
 このほか動植物の採取禁止や、環境保全措置が確実に実行されているか、区側が事業内容を確認できる質問権を保証した。安田区では伊部岳を中心に県内外から観光客らが訪れるエコツアーが実施されており、今後各事業者に呼び掛け同様のルールづくりを進める。
 中根代表によると、一部のエコツアーで「どんぐり採集」を実施するものがあり、種であるどんぐりを持ち去られると、森の再生が止まるだけでなく、餌を失った動物にも影響が出る。誤った知識で生態系が破壊される恐れもあるという。
 中根代表は「エコツーリズムを地域がコントロールし、地域に還元する一つのモデルとして、共存共栄の形をつくりたい」と話した。