鳥インフル、今後2週間警戒を 根路銘氏が遺伝子分析


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 【名護】中国で感染が報告され、拡大が懸念される鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の全遺伝子の解析情報が8日までに、ウイルス研究の世界的権威で生物資源研究所所長(名護市)を務める根路銘国昭さん(73)に国内の研究者から提供された。

遺伝子情報を分析した根路銘さんは「鳥から人に広まることは考えにくい」と話し、爆発的な感染拡大の可能性は低いとした。ただ変異によって哺乳類に感染しやすくなる可能性もあり「今後2週間は最大の警戒が必要」と強調した。
 根路銘さんによると、鳥インフルエンザウイルスの遺伝子に含まれる特定のタンパク質が鳥インフルエンザ特有で、人の細胞に取り付きにくいものだという。過去の例からウイルスに汚染された鳥のふんが大量にある場所で人の気管支に入った可能性がある。提供されたデータの段階では鳥から人、人から人への感染は可能性が低いとみている。
 一方、鳥の発症が少ないH7N9型は弱毒性であることも分かった。根路銘さんは過去に世界的流行が発生したスペイン風邪、A香港型なども弱毒性で「鳥にとって弱毒性でも、人に感染すると強毒性になる危険がある。豚、人のウイルスと交ざれば問題だ」と話す。
 根路銘さんは今後の対応について、感染から発症までに48時間程度かかるため、入国を防ぐ水際作戦は感染者を見逃すなど限界があるという。人にうつった場合でも「現在は抗生物質で合併症は抑えられ、予防薬もある。必要以上に恐れることはない」とワクチンなどの対策を急ぐよう指摘した。
(金城潤)