与儀さん、消防論文全国1位 地デジ画面で心肺蘇生法


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データ放送活用による防災情報普及を訴える論文が最優秀賞に輝いた与儀真也さん=3日、那覇市銘苅の那覇市消防本部

 那覇市消防本部予防課の消防士与儀真也さん(28)はこのほど、消防職員を対象にした全国消防協会(東京都)の消防に関する論文選考で全国1位の最優秀賞を受けた。与儀さんは「データ放送を活用した【防火・防災・救急】ページの作成」と題する論文で、地上デジタル放送(地デジ)のテレビ画面で簡単に心肺蘇生法や消防設備の取り扱い、災害時避難場所が分かるシステムを提案した。

全国規模で通用する有効なアイデアとして高く評価され、6月に北九州市で表彰される。
 与儀さんはこれまで安謝や小禄で消防の現場に関わる中、心肺停止の人が目の前にいる通報者からの電話を幾度も受けてきた。電話で伝えても、極限状態の相手には言葉で十分伝わらないことを経験してきた。このため与儀さんはd(データ)ボタンを押してさまざまな情報を入手できる地デジのデータ放送を利用することを思いついた。ボタン操作を誘導して、動画に合わせて心肺蘇生法を見られる環境を論文で提言した。
 予防課で上司の島袋弘樹課長(49)は「市民、国民のためになる考えだ。分かりやすいと評価も高かった。頑固な性格で行動力、自助努力もすごい」と与儀さんを評価する。
 与儀さんは県内のテレビ局に防災データ放送が可能かを問い合わせ、NHK沖縄放送局には交渉もした。テレビ局側も意義を認めるが、設備投資が必要など課題も指摘された。
 市民の考えを知るため、母校の専門学校や市民の協力も得て、那覇市を中心に2242人にアンケートを実施した。与儀さんの提案する防災情報のデータ作成を93%が望み、94%が実現したら日常的に活用する意思を示した。
 与儀さんは「意見では終わらせずに実現させたい」と意欲を示した。