台湾船、操業容認へ 政府、きょう発表 尖閣周辺


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 【東京】尖閣諸島周辺海域の漁業権をめぐる日本政府と台湾側との協議で、同諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)に属する一部海域で台湾漁船による操業を認めることで最終調整していることが9日分かった。

沖縄本島西側海域の一部についても台湾側の漁業権を認める一方、先島諸島の南側一帯は引き続き日本側の漁業権を優先する。10日にも正式に合意し、発表する。
 日本政府としては尖閣諸島の領有権を主張し、台湾を取り込もうとする中国に対し、日台の関係強化をアピールして「中台」を分断する狙いもありそうだ。
 台湾漁船の操業を認める海域は日本と台湾の間に広がる東シナ海のうち、日台間の中間線より日本側で、北緯27度以南のEEZ。尖閣も同海域に位置している。同海域一帯を日台の「共同管理水域」とし、双方の漁獲高を管理する案も浮上している。
 外務省は台湾側の「自らの経済権益が及ぶ水域だ」との主張を受け、水面下で交渉を継続。先島諸島の南側についても台湾側の操業を認める方向で当初調整していたが、地元の漁業者や農林水産省が「権益が確保できていない」と反発し、国内の調整が難航した。
 だが「台湾との関係が悪化すれば、中国と台湾が急接近しかねない」と首相官邸が懸念し、早期の協定取りまとめを指示した。
 2月に県漁業協同組合連合会なども県内漁業者の利益確保を政府に要請していた。
 地元との折衝に関与してきた島尻安伊子内閣府政務官は「日台双方の政治が主導した。地元の意向を踏まえた改定になっているのではないか」と述べた。