国立劇場で65周年公演 東京・沖縄芸能保存会


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児玉由利子副会主(前列左)らによる創作舞踊「源氏幻想」=5日、浦添市の国立劇場おきなわ

 琉球舞踊の渡嘉敷守良流「東京・沖縄芸能保存会」(本部・横浜市、二代目児玉清子会主)の創立65周年記念公演「継承の舞2」が5日、浦添市の国立劇場おきなわで行われた。

創作舞踊「源氏幻想」と、短歌を取り入れた創作舞踊劇「風車(かじまやあ)の花苑(はなあたい)」(馬場あき子作、織田紘二演出)を沖縄で初めて披露。伝統舞踊と同時に創作にも力を入れた初代清子の精神を引き継ぎながら、二代目の独自色も発揮した。
 前半は国王の前で演奏された「御前風五節」など伝統的な踊りを披露。中でも清子会主による網打ち踊り「仲村渠節」と、妹の由利子副会主による「花風」は存在感を放った。「仲村渠節」は、初代清子が1954年に久米島町で調査、収録した踊り。魚を目で追い網を打つ所作は老練な漁師の厳しさと気高さを感じさせ、客席から大きな拍手が送られた。
 由利子の作・振り付けによる「源氏幻想」は、恋多き夫の源氏に悩み心を病んでいく露紫(由利子)と、遅れて露紫を愛していることに気付く源氏(東江裕吉)の悲恋を描いた。清子が振り付けた「風車の花苑」は、婚約者がいながら隣国の若按司(児玉とみ子)にかなわぬ恋心を抱くまみつがね(清子)の物語。歌人の馬場による「波路のかなたに 帰りゆく若子 いとしと思へど かなわぬ恋路」などの歌が字幕で表示され、優美な世界観をもり立てた。