安田にブランド米を 地域おこしへ住民田植え


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産業化や若者定着などを目指す取り組みの第1弾として田植えをする住民ら=6日、国頭村安田

 【国頭】米どころとして知られた国頭村安田の稲作を復活させ、地域おこしにつなげようと、住民やNPO、琉大などが協力する取り組みが安田区で始まった。

ブランド米を作ることで農業の産業化と同時に若者の働く場を確保、将来は体験型観光にも活用する。6日はお年寄りから小学生まで区民やボランティアら20人が参加して田植えがあり、活性化への夢を乗せた苗を丁寧に植えていった。
 植えられたのは琉大農学部の本村恵二教授が提供したコシヒカリとちゅらひかり、本村教授が開発した名前のない新品種の三つ。新品種は通常より丈が低く、風に強いのが特徴だ。
 本村教授は「作る技術はあっても流通の問題などで途切れたものがある。そうした作物をブランド化し、復活させる第1弾として安田から始めた」と語る。
 本村教授のアイデアを、名護市でホテルを経営する大朝將嗣さんが仲介した。大朝さんは北部地区で観光関連産業を営む個人や団体をネットワーク化する「やんばる共和国」構想を提唱しており、法人も設立した。「ヤンバルクイナの郷」を宣言した安田区が田園風景の復元を目指していることもあり、安田に拠点があるNPO「やんばる・地域活性サポートセンター」と連携した。
 大朝さんは地産地消や地域特産物の発信モデルにする目標を挙げ「都会やよその地域でやっていることをしてもしょうがない。もともとあるもの、足元のものを県内、全国に発信する」と話した。
 安田区は国頭村内で奥間に次ぐ米どころとして知られた。戦後は減反やサトウキビへの転換などで稲作農家はほぼなくなったが、区内に田んぼ跡は多く残る。今回は11アールの休耕田を整備して活用した。
 田植えでは「50年ぶりだね」と話すお年寄りも参加し、若者たちに植え方などを教えていた。