県、政治問題化を回避 「主権回復の日」式典 副知事出席


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「主権回復の日」式典に代理出席が決まり、記者の質問に答える高良倉吉副知事=10日夕、県庁

県外との摩擦望まず
 仲井真弘多知事は4・28「主権回復の日」式典への参加を見合わせ、高良倉吉副知事を代理出席させることを決めた。知事の判断について高良倉吉副知事は「複雑な県民感情への配慮」を強調したが、式典開催に反対の声も強い中、出席でも欠席でもない「代理出席」を選んだ。知事の出欠がこれ以上、政治問題化することを避けたいとの意図が見え隠れする。

 式典開催の政府方針が示された当初から、開催に反対する声が強かったことを踏まえ、県幹部は「式典への出欠に知事の政治生命を懸けるべきではない」として知事が直接出席することに否定的な見解を示していた。
 一方、県は判断に先立ち、他の都道府県に知事の出席判断を照会するなど慎重な姿勢も目立った。沖縄の問い合わせに対して「代理出席」と回答する都道府県も多かったという。
 県幹部は「沖縄以外の他府県は4・28に興味すらないのではないか」と語る。知事の出席判断が注目を集める沖縄とは対照的な他の都道府県の対応も判断材料の一つとなった。
 一方、高良副知事は欠席を選ばなかった理由について「天皇・皇后両陛下が出席され、全国の方々が参加する。沖縄県の席が空いているというのは、日本の一つの県としてあり得ない」と語った。県民への配慮だけではなく、政府や本土世論と余計な摩擦を避けたいとの狙いも色濃くにじむ。
 政治的、感情的な思いが渦巻く中、知事は「県民からの風当たりの回避」と「政府との摩擦の回避」の両方を満たすために、代理出席を選択した。(池田哲平)