党本部の期待を一蹴 県連、攻勢受け弱音も


社会
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 普天間飛行場の「県外移設」を公約に掲げる自民党県連と党本部との調整が不調に終わった。辺野古移設を受け入れさせたい党本部側と、「県民との約束」を前面にローカルマニフェスト(地域政策)の撤回を拒む県連との議論は1時間超。夏の参院選に向け、公約の一本化を急ぎたい本部の焦燥感に対し、「県民に顔を向けている」との主張を押し出す県連の溝があらためて浮き彫りになった。

 「知事が(代替基地建設を)承認しやすい環境をつくらねばならない。そのためには県連に納得していただかないと」。会談前日の24日、本紙と会見した石破茂幹事長は深く目を閉じ、祈るようにつぶやいていた。

■「県民に約束」
 25日正午すぎ、石破氏が党本部の応接室に入ってくると、待ち構えていた県連の翁長政俊会長、照屋守之幹事長らは硬い表情を崩さないままあいさつ。事前に党本部サイドは(1)危険性の除去や普天間の早期返還では県連と一致(2)公約を翻した西銘恒三郎、島尻安伊子の県選出2氏と同様に本音は辺野古容認―と分析し、県連の公約撤回に淡い期待をにじませていた。
 こうした見方を翁長氏は明確に否定。「(西銘、島尻の)2人の意見は県連の総意ではない。県連は県外移設を県民に約束した。選挙公約を変えるつもりは全くない」と断言した。「公約の一本化はやはり厳しい」(本部関係者)という現実を突き付けた。

■「合意は重い」
 一方で県連に徒労感も漂う。会談を終えた翁長氏は「現実問題として政府の方針が変わることはないだろう」と眉間にしわを寄せた。会談で「日米合意は非常に重い」と繰り返し、「県外」を撤回するようこれまで以上に強い口調で迫った石破氏側に、辺野古移設の日米合意見直しを働き掛ける気力が失われつつあるようにも見えた。
 安倍晋三首相の指示を受け、県選出国会議員を手始めに地元自民議員の切り崩し攻勢を強める党本部に対し、県連からは「それぞれマニフェストを作って選挙に臨むしかないのではないか」(翁長氏)との弱音も漏れる。
 自民党幹部は「ねじれているとの印象はよくない。辺野古容認が最も望ましいが、曖昧さがあってもいい」と述べる。県連は辺野古容認を明言しないが、本部の方針にも強く異を唱えない―との落としどころを探る声もある。
(松堂秀樹)