県と業者、対立一層 識名トンネル百条委


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県議会の識名トンネル虚偽契約問題に関する調査特別委員会は18日から24日、虚偽契約当時の県や業者の関係者7人を証人尋問した。虚偽文書作成や工法変更の経緯、責任の所在を追及する質問が集中。工法変更をめぐり、前年度までの参考人招致で浮かび上がった県と業者の証言の対立点が一層際立った。

 県と請負業者の大成建設で食い違う点は、当初に予定していた工法から新工法への変更を検討する段階で、双方の担当者レベルが話し合った内容。県側は、工事費が減ることなどを条件に、工法変更を検討することへ大成建設が「承認した」と参考人招致と同様に証言。一方、大成側は「承諾していない」と明確に否定した。委員から「どちらかが偽証に相当する」との言及もあったが、証言の対立は解消しないままだった。
 また、各委員は虚偽契約や工法変更が「誰の指示か」との質問を繰り返した。県側は、南部土木事務所内で話し合った上で土木建築部長の決裁も得たことを説明。「命令があったわけではない」などの答えに終始した。一方、大成側は虚偽の工期を記した契約文書に関し「虚偽の認識はなかった」として、県の指示に従ったことを主張した。
 与党の照屋守之氏(自民)は「(誰が虚偽契約を指示したのかに関し、質問と答えが)同じことの堂々巡り」と指摘。新たな証人尋問よりも、刑事告発を含め次の段階を模索すべきだと主張した。
 一方、野党の新里米吉氏(社民護憲)は、疑問点がまだ残ることを指摘し「事実を明らかにしていくのが大きな仕事」と新たな証人尋問の必要性を主張する。
 調査委は今後の方向性を30日の与野党調整会議で議論する。調査結果は県議会6月定例会で最終報告する予定だが、残された期間内で解明すべき点について焦点を絞り、より踏み込んだ追及ができるのか注目される。(古堅一樹)