参院選、自民党幹部が今週来県 「県外」公約、正念場


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 米軍普天間飛行場の移設をめぐる7月の参院選公約について自民党県連と調整するため、党本部の石破茂幹事長ら幹部が今週相次いで来県する。党本部は公約に名護市辺野古移設を明記したい考えだが、県連は「県外移設」を盛り込んだ独自公約を作成する方針で、平行線が続く。5月末の公約決定を予定する党本部は独自公約を断念させ、問題決着に持ち込みたい考えで、県連にとっては正念場を迎える。

 15日には高市早苗政調会長が来県。19日には石破氏、中谷元・副幹事長、浜田靖一幹事長代理の防衛相経験者らが沖縄に顔をそろえ、翁長政俊県連会長らと詰めの協議を行う。
 党は昨年12月の衆院選政策で「固定化に対する沖縄の懸念を払拭(ふっしょく)し、新たな負担を被る関係自治体に特別な配慮・施策を講じる」と明記したが、具体的な移設先には触れなかった。
 だが2月の日米首脳会談で辺野古移設の日米合意推進で一致。3月に辺野古移設に伴う埋め立てを県に申請したことを踏まえ、党本部は「辺野古」明記にかじを切っている。
 高市氏は9日の記者会見で「国家の基本方針に関わる部分で大きな開きが出るのは好ましいことではない」と表明。県外移設を掲げる県連の説得へ修正案をまとめる考えを示した。
 これまで県連に配慮してきた石破氏は10日の会見で「会合を重ねてばかりでも仕方がない」と発言。党で移設問題の特命担当を務める中谷氏らと、4月25日に続いて再び県連と協議する今月19日がヤマ場となる。
 だが県連は県外移設の方針を崩していない。幹部は「考えを変えるつもりはない。腹は据わっている」と強調。党本部があくまで県外を認めない場合、参院沖縄選挙区への公認候補の安里政晃氏の無所属出馬も選択肢に入れている。
 だが党本部からはここに来て「政権と異なる公約では他の都道府県連や米国に示しがつかない。公認すべきでない」「県外移設を掲げる県連の候補者はむしろ負けてくれたほうがいい」などの強硬意見も上がる。さらに、移設先を曖昧にするなど落としどころを探る動きもある。
 双方とも「いつまでも先延ばしではいけない」(県連)との認識では一致。移設問題の今後にも大きく影響する協議が大詰めを迎えようとしている。(問山栄恵)