地域版明記 「ぎりぎりの線」
米軍普天間飛行場移設先の参院選公約をめぐる自民党の石破茂幹事長と県連との会談は、4月下旬に続いて双方が主張を述べ合って終わった。石破氏は協議を継続する意向を示したが、7月21日予定の参院選まであと2カ月。県連の翁長政俊会長は「スタンスは堅持する。判断せざるを得ない時期が近いうちにくる」と述べ、「県外移設」を明記した地域版公約の作成が譲れない線だと強調した。
党政調会がまとめた参院選の公約原案では県連の主張を踏まえ、移設先を明記せず「負担軽減の実現」などの表現にとどめた。15日に来県し、同案を説明した高市早苗政調会長は、党内に日米地位協定見直しに向けた委員会を発足させることも伝達。配慮を見せた。
県連内には、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の「阻止」を掲げていた北海道連が条件付き容認に転じたこともあり、「沖縄も歩み寄るべきではないか」との意見も一部にあったが、執行部は県外移設の方針をかたくなに貫いた。
ただ一方で、県連所属の2国会議員が県外移設の公約を撤回したこともあり、党本部とのねじれを残したまま選挙に臨むことは、公約の一貫性に疑問を持たれる可能性もはらむ。
県連に配慮も示しつつ、辺野古移設の政権方針に同意するよう説得を重ねる党本部に「県外」を掲げさせることが可能かについて、県連幹部は「可能性があるなら何でもやるが、相手は国政与党で、しかも安倍晋三首相本人が米国と合意している。地域版公約で臨むという線がぎりぎり、精いっぱいだ」とこぼす。翁長氏は「党本部も県連もやりにくい選挙になる」と述べた上で「沖縄にとって大変大きな政策だ。(県外は)しっかりと堅持する」と覚悟したように語った。(新垣和也)