米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機1機が28日午前8時43分ごろ、国頭村安田の東南約59キロ沖合の海上に墜落した。搭乗していた乗組員は1人で、墜落前にパラシュートで脱出し、午前10時9分ごろ航空自衛隊のヘリコプターが救助した。けがなどはなかった。
嘉手納基地は機体に何らかの不具合が起こったとした上で「原因はまだ究明されていない」と説明している。県は29日、米軍に事故原因究明まで同型機の飛行中止と再発防止を要請する。
米軍F15戦闘機の墜落は嘉手納配備以来9回目で、復帰後の米軍機墜落事故は44件目。第11管区海上保安本部によると、午前9時ごろ在沖米軍から墜落の通報があった。11管の固定翼機や巡視艇が確認したところ、墜落現場の南西約2・6キロの海面に長さ500メートル、幅50メートルの油の流出が見られた。現場海域周辺で同機のエンジンとみられる残骸が発見されている。
沖縄防衛局によると墜落した海域は米軍のホテル・ホテル訓練区域で、2006年1月にも同区域で戦闘訓練中のF15が墜落している。県が航空自衛隊に確認したところ、午前8時45分ごろ、緊急脱出をする際の信号を受信したという。
空自は午前9時50分にヘリコプターと航空機2機を現場に派遣。救命具につかまっていた乗組員を救出し海軍病院に搬送した。米軍は「パイロットの状態は安定している」と説明した。
ホテル・ホテル訓練区域は県などが返還を求めており、民主党政権下の11年5月に政府との沖縄政策協議会の部会で訓練区域の一部返還が話し合われている。
仲井真弘多知事は「一歩間違えば人命、財産に関わる重大な事故につながりかねない。日常的に米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に大きな不安を与えるものだ」とのコメントを発表した。
菅義偉官房長官は28日午後の記者会見で、外務省北米局長から在日米国大使館に対し、事故の原因究明と再発防止を求める申し入れを行ったことを明らかにした。今後の日本政府の対応については「関係省庁で引き続き情報収集に努め、米軍に再発防止を求めるなど適切に対応していく」と強調した。