ひめゆり証言員派遣終了へ 高齢化、欠員で負担増


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来館者に自身の戦争体験を語る島袋淑子館長(左)=28日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館

 1989年の開館以来、多くの人々に戦争の悲惨さを伝え続けている糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」は、修学旅行生らを対象にした館外講話への「証言員」の派遣を、今年9月いっぱいで終了する。

沖縄戦の実相を伝えようと重い口を開き、20年以上にわたり講話活動を続けてきた元ひめゆり学徒隊の生存者たち。証言員の年齢が80代後半を迎える中、体力面に配慮し、館外講話の終了を決めた。10月以降は、館内に限定して講話を実施する。島袋淑子館長(85)は「不安もあるが、今後もできる限り長く講話活動を続けていくための前向きな決定だ」と思いを語った。
 館外講話は修学旅行生の宿泊先で夜に実施されることが多く、終了時間が午後10時を超えることも多かった。証言員の年齢が84~88歳と高齢化する中、家族や職員から健康や安全を心配する声が上がっていた。昨年から議論を重ね、今年3月18日、旅行社など関係機関へ正式に終了を伝えた。
 開館当初は27人いた証言員は現在、死去や病気などで10人にまで減った。逆に、1人当たりの講話数は増えていった。
 同館によると、館内外を合わせた年間の講話件数は、個人対応の講話も含めると毎年千件を超える。平均すると、証言員1人当たり年間100回近くに及ぶ。日によっては1日で1人3回の講話をこなすこともあった。2012年度に事務局で受け付けた講話件数は館内外合わせて615件で、館外講話はその半数を占めた。
 島袋館長は「亡くなった友人に背を押され、生き残った者の使命として戦争の悲惨さを伝えてきた。いつまでできるか不安もあるが、無理をせず、長く伝えていきたい」と、館内講話を続ける決意を示す。一方、次世代への戦争体験の継承にも期待を込める。「話を聞いた生徒たちは『必ずみんなに伝える』と言ってくれる。それを励みに頑張ってきた。私たちの平和への思いを、若者に受け継いでほしい」と力を込めた。(赤嶺玲子)

英文へ→Museum to end program of sending Himeyuri survivors out for lectures