【島人の目】希望を失わない県民性


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 「4・28と沖縄」について琉球新報・潮平芳和氏と沖縄タイムス・長元朝浩氏の両論説委員長が、同時にそれぞれの新聞に評論を発表した画期的な企画に感嘆した。政府主催の「主権回復の日」は沖縄住民にとって日本から分離された「屈辱の日」として語り継がれてきた。両氏は「深い悲しみの紺色を掲げ」「新たな苦難が始まった日」として、政府式典に強い違和感を抱いた、と主張している。

 今回の橋下徹大阪市長の発言に見られるように、日本本土の政治家や官僚の沖縄県民蔑視の発言は後を絶たない。これでもか、これでもかと踏みつけにして、問題発言を繰り返す。沖縄の住民は何度「苦渋の選択」を迫られたことだろうか。沖縄県民の主張は、ことごとく却下されてきた。
 潮平氏には「歴史に翻弄(ほんろう)されながらも力強く生きる沖縄の人々、希望を失わない県民性の造詣の深さに感銘の意をささげたい。それは琉球新報や沖縄タイムスなどメディアの報道が大きな支えとなっているのではないか」との意向を伝えた。
 これに対し潮平氏は「『希望を見失わない県民性』―おっしゃる通りだと思います。日本、米国、中国という大国に翻弄されてきた沖縄ですが、その中にあって、先達はさまざまな弾圧、抑圧と闘ったり、妥協と摩擦を繰り返したりしつつも、たくましく生きてきた。そうした歴史、先達の足跡に学ばないといけません。民主主義の適用を求める沖縄の主張が、後ろ指をさされるいわれはないでしょう」と私に伝えてきた。
 沖縄の人々は今後も「希望を失わず、明日を信じて前進していく」ことは間違いない。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)