公務員給与削減 県、不満もやむなし


社会
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労組、国の「強制」を批判

 地方交付税の削減に伴う県や市町村の職員給与減額問題。地方が独自に使える財源を国が削減し、地方公務員の給与減額を要請するという事態に、県は遺憾だとしながらも、やむを得ない措置として減額に踏み切る。

県は政府が期限とする7月に間に合わせるために、県議会6月定例会に条例案を提案する方針だ。県職労とは合意できないまま団交も終結しており、6月議会に突入する。
 「政策誘導に使ってはいけないのが交付税。今回こうなったのは遺憾だ。知事も表明している」。12日に開かれた議会運営委員会で、小橋川健二総務部長は、国に不快感を示した。一方で、「7月に間に合わなければ、今削減されている交付税で現在の給与の減額分だけでも、削減分が埋まりきらない」と説明。条例案の先議を求めたが、野党側を中心に異論が噴出した。

◆全国知事会が反発

 通常、地方公務員の給与は、各地域の民間給与との差などを考慮した人事委員会の勧告を受けた後、組合と交渉し合意を得た上で条例改正に至る。今回の措置はこれらの流れを経ず、国から地方自治体への「トップダウン」で進められた。
 国からの要請には、全国知事会や市長会、町村会が反発している。各都道府県で、すでに独自の給与カットを実施するなど、行財政改革に取り組んでいることや、経済対策を進める中、交付税の削減が景気を冷え込ませる―と、国の政策の矛盾を突いた。

◆団交打ち切り

 県が県職労、沖教組、高教組などに対し、給与減額を提案したのは5月。県議会への条例改正の提案へ向けた準備期間を考慮し、県は交渉の期限を6月4日に設定したが、妥結できないまま時間切れで団交は打ち切られた。県職労としては、決して納得できる終わり方ではない。真喜志功委員長は国の対応に関し、「要請という名の下の強制だ」と批判した。
 県は3月末で退職した県職員の退職金を従来の水準から約45万円減額した。県と県職労は、4年間かけて約388万円の減額となることで合意している。こうした退職金の減額の後で、今回の給与削減は追い打ちを掛ける。
 真喜志氏は「今年初めに退職金もカットされ、今回は月に2万円、3万円といった額が9カ月間も減らされる。家のローンや子ども学費などいろいろ影響を受ける。生活が立ちゆかない」と痛切に訴えた。
(慶田城七瀬、古堅一樹)