心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているか、発症する可能性が高い深刻な心の傷(トラウマ)を、沖縄戦体験者の約4割が抱えていることが、沖縄戦トラウマ研究会(當山冨士子代表)の調査で分かった。
同研究会は、沖縄戦の記憶に加え、戦後一貫して存在し続ける米軍基地や、そこから派生する事件事故の影響が、体験者の心に深い傷を与えていると分析している。沖縄戦体験のトラウマについての大規模調査は初めて。
調査は2012年4月から13年2月の間に元保健師や精神科医らが糸満市や読谷村、座間味村など8市町村のミニデイケアに通う75歳以上の高齢者に面接形式で実施し、トラウマ関連の症状の程度を評価する改訂出来事インパクト尺度(IES―R)で22項目の質問を採点した。
合計得点は0~88点で、25点以上はPTSD発症リスクが高いとされる。対象者401人の平均年齢は82・3歳で、そのうち359人から有効な回答を得た。回答者の平均値は22・4点で、25点以上の高齢者は141人(39・3%)いた。77歳女性の記録した78点が最高値だった。