戦の教訓 継承誓う 慰霊の日・沖縄全戦没者追悼式


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沖縄全戦没者追悼式で焼香をする男の子=23日正午すぎ、糸満市摩文仁の平和祈念公園(渡慶次哲三撮影)

 戦後68年を迎えた慰霊の日の23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で「2013年沖縄全戦没者追悼式」(主催・県、県議会)が執り行われ、沖縄戦で犠牲となった20万人余のみ霊を慰め、世界の恒久平和を誓った。各地の慰霊の塔では慰霊祭などが開かれ、県内は鎮魂と祈りに包まれた。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設堅持や、今夏にも予定されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの追加配備計画に県民の反発が強まる中、県遺族連合会の照屋苗子会長は「遺族として断じて容認できない。普天間飛行場の県外移設も切望する」と求めた。喜納昌春県議会議長は「沖縄に幾度となく繰り返される理不尽な扱いは、我慢の限界に来ている」と県民感情を代弁した。
 平和祈念公園には早朝から多くの人が続々と訪れ、「平和の礎」に刻銘された戦没者に花を手向けたり、名前を指でなぞりながら戦争体験を子や孫に語ったりする姿もあった。平和祈願慰霊大行進は午前9時に糸満市役所を出発し、沖縄本島南部の激戦地を歩いた後、追悼式に合流した。
 追悼式には遺族、来賓ら約5800人(主催者発表)が参列し、正午には参列者が一斉に頭を垂れて、黙とうをささげた。安倍晋三首相、伊吹文明衆院議長、平田健二参院議長のほか、岸田文雄外相と小野寺五典防衛相やルース駐日米大使が出席した。外相、防衛相の出席は初めて。
 追悼式の平和宣言で仲井真弘多知事は「沖縄戦の教訓を継承するとともに、わが国が築いてきた平和主義の堅持を強く望む」と言及し、日本国憲法の基本理念、9条で示す平和主義をあえて取り上げた。安倍政権による憲法改正への動きに懸念を示したともみられる。安倍首相は「米軍基地の集中が県民の大きな負担となっている。少しでも軽くするよう全力を尽くす」と述べた。
 与那国町立久部良小学校1年の安里有生(ゆうき)君による平和の詩「へいわってすてきだね」の朗読に、会場から大きな拍手が送られた。平和の礎には本年度、62人が追加刻銘され、刻銘者総数は24万1227人となった。

<用語>沖縄全戦没者追悼式
 米国施政権下の1952年に初めて開催された。現在は県が主催。沖縄戦で亡くなった人々の三十三回忌に当たる77年の追悼式で、当時の平良幸市知事が世界の恒久平和を訴える「平和宣言」を初めて読み上げた。90年の式典で海部俊樹首相(当時)が歴代首相として初めて参列した。

英文へ→People vow to pass on lessons from tragedy